無窮 i ラボ Blog

知的ネット社会、知そのもの、機械との共生、プログラミングに関して。

 
 

8月の終わり、朝の出勤途中の駅で涼風に吹かれて夏の終わりを感じた時、「WISH」イベントのことをふと思い出しました。

かつて、この季節に、「WISH」という アジャイルメディア・ネットワーク(AMN) が開催したネット新サービスのプレゼン大会が ありました。「WISH2009」、「WISH2010」、「WISH2011+」と、3回 開催されました。

このイベントは、AMN 代表取締役(当時)である徳力 基彦 さんが、岡田 有花 さん梅田 望夫 さんへのインタビュー記事「日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編), Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) - ITmedia ニュース」をきっかけに、開催されたものです。

ネット新サービスのプレゼン大会が、どのようにして日本のWebを「残念」でなくするのでしょうか。

徳力さんの当時のブログ記事を、下記に「補足」として示します。そこには、

  「日本のウェブサービスや製品を褒める機会

  「ウェブの未来を担うようになる可能性のあるサービスや端末を、参加者全員で発掘・共有・応援しようというイベント

  「ウェブを面白くしてくれる新しいサービスや製品が立ち上がるかどうかは、それを使っている私たちが、サービスの開発者や企業をどれだけ支えてあげられるか、支援してあげられるか、ということにかかってきていると言うこともできるのではないか

と、あります。

徳力さんは、イベントという場を作って、日本のWebユーザに、まず行動をさせたのです。

(一方、2009年当時の私は同インタビュー記事を読んで、日本のWebユーザの、意思・行動様式を変化させることが必要だと考えました。これが現在の知的ネット社会推進本部に至ります。)

さらに徳力さんの思いとは異なるかも知れませんが、次のように考えました:

  このイベントは、使える技術と不特定多数の人間の掛け算である

  これは建設的であり、世の中を良くする揺さぶりである

  ひとつには、これは意思を変える


なぜならば、

(1) 行動は意思を生むからです

行動と意思は、互いに互いを生みます。最近では、行動を始原、意思を結果と見なす考え方が広まりつつあります。


(2) 使える技術は意思を生むからです

 ・世に出された使える技術は、人に新たな視点を与えます

 ・使える技術は、人を拡張します。人は、自身を拡張するものに強い影響を受けます

 ・使える技術によって拡張された状態において、その中核たる人の心がその状態を活かそうとします


(3) 民が技術を使えることによって、民と統治機関が切磋琢磨できるからです

民の知性と、統治機関の知性は、堅牢な世界のために共生すべきであり、より効果的に共生状態であるために切磋琢磨すべきです。

民と統治機関が切磋琢磨するためには、統治機関だけでなく、民も技術を使える必要があります


※ (1), (2) については、〈意思・思想〉・〈技術・機械・メディア〉・〈経済〉・〈行動〉の連関 にまとめています。


* * *

補足



「WISH」イベントの発起人であるAMN 代表取締役(当時)である徳力 基彦 さんの投稿を追います:

きっかけになった記事:
日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) - ITmedia ニュース (2009/ 6/ 1)
Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) - ITmedia ニュース (2009/ 6/ 2)

[徳力] 日本のウェブは遅れているのではなく、急速に進みすぎたのではないかという仮説 (2009/ 6/ 9)

日本のウェブって、私たちができるはずのこととか、やるべきなのに見落としていることはたくさんあるのではないかと思う、今日この頃です。


[徳力] 日本のウェブの残念度を下げるために、私たちができそうな7つのこと+α (2009/ 6/12)

今回もう一つ思ったのは、日本のウェブサービスや製品を褒める機会がもっとあっても良いのではないかと言うこと。これについては、ちょっとイベント的なものから取り組んでみたいと思っています。


[徳力] 日本のウェブを盛り上げてくれそうなサービスや端末のプレゼンイベントをやってみませんか? (2009/ 6/17)

[シリコンバレーでは、] メディアの面でも、TechCrunchがサービスしたばかりの名もないサービスをピックアップしたりとか、ブログコミュニティ全体が、新規ウェブサービスをみんなでよってたかっていじってあげている印象があり、始まったばかりのサービスがスタートダッシュを切るのに良い環境がある気がします。

翻って日本の現状を考えると、...

そう言う機会を通じて、サービス開発者や企業にいろんな出会いがあったりすると、個人開発で面白いアイデアなんだけど、デザイナーの人が手伝えばもっと一気によくなるのに、とか、このサービスとこのサービスが組み合わさればもっと成功しやすくなるのに、とか、ひょっとしたら投資も決まってしまったり、とか、そういう可能性も見えてくるんじゃないかなぁと思います。


ウェブの未来の可能性を先行体験する「WISH2009」を開催|アジャイルメディア・ネットワーク(AMN) (プレスリリース 2009/ 7/16)

WISH 2009とは、ウェブの未来を担うようになる可能性のあるサービスや端末を、参加者全員で発掘・共有・応援しようというイベントです。


[徳力] WISHというイベントで、私が表現したかった3つのこと (2009/ 8/25)

WISHというイベントで、私が表現したかった3つのこと
■本人が楽しいことが一番大事
■サービスはユーザーと一緒に考える時代
■ウェブに境界線なんてない

...

ウェブを面白くしてくれる新しいサービスや製品が立ち上がるかどうかは、それを使っている私たちが、サービスの開発者や企業をどれだけ支えてあげられるか、支援してあげられるか、ということにかかってきていると言うこともできるのではないかと思ったりします。

...

 インターネットって、みんながつながっているので、みんながちょっとずつエネルギーを出し合ったり、アイデアを出したりすると、みんながちょっとずつ頭が良くなる。

...

 メディア企業とネット企業の対立とか、外資系ネット企業に対する国内企業の牽制とか、政治的な対立はいろいろあるんだと思いますが、もっと同じウェブでつながるインターネットの利用者として協力しながらウェブを面白くしていく方法はあるんじゃないかなーと。


* * *

「WISH」イベントの記録



wishjapan(@wishjapan)さん | Twitter

● 始まり

[徳力] 日本のウェブを盛り上げてくれそうなサービスや端末のプレゼンイベントをやってみませんか?

ウェブの未来の可能性を先行体験する「WISH2009」を開催|アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)

● WISH2009 2009/ 8/21

WISH2009 - YouTube

革新的なネットサービスを表彰 「WISH2009」は立ち見も出る盛況 - ITmedia ニュース

無窮 i ラボ Blog ネットの新サービスのプレゼン大会「WISH2009」が開催されます

アジャイルメディアネットワーク、東京でWISH 2009開催 ― スタートアップ14社がデモ | TechCrunch Japan

[徳力] WISHというイベントで、私が表現したかった3つのこと

WISH2009のプレゼンをどう作ったか? | IDEA*IDEA

WISH2009で伝えたかった2つのこと | IDEA*IDEA

WISH2009に行って盛大にスベってきた! - 941::blog

WISH2009に行ったよ☆? | 脳内会議

ウェブの未来を担う可能性を発掘・共有・応援するイベント「WISH2009」開催しました|アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)

WISHプレゼンターのTwitterアカウントをご紹介します|アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)


● WISH2010 2010/ 8/28

YouTube アジャイルメディア・ネットワーク内に、動画あり。

未来を担うネットサービスを発掘 「WISH2010」大賞は「パブー」 - ITmedia ニュース

@atene_gakudoログ 2010/08/28


● WISH2011+ 2011/ 9/ 7

YouTube アジャイルメディア・ネットワーク内に、動画あり。

[徳力] 今年のWISH2011は、日本のウェブサービスやアプリにとっての二段ロケットになることを目指していきたいと思います。

[徳力] WISH2011で考える、自分がウェブサービスを作れないからこそ、応援できることに感謝したいということ。

「WISH2011」大賞はソーシャル家計簿サービス「Zaim」 -INTERNET Watch Watch

3年目を迎えたウェブサービスの応援イベント、「WISH2011」開催。(市川 裕康) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

AMN主催イベント「WISH2011」の受賞結果をご報告いたします!|アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)
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・開達さ――知識・情報が広く行き渡っていること
・好奇心
・冷静さ

が、戦力だ。

国・社会・企業は、組織内のこれらを最大化するように経営される(環境・教育・技術を整備する)べきである。

・開達さ――知識・情報が広く行き渡っていること

知りすぎている人がいっぱいいると最強

・好奇心

「王の知性」が「民の知性」を制御できないように、 「好奇心 、多分ね」

・冷静さ

冷静さを失った時に それを取り戻す 心理的技術を、整備しておくべきだ。

  関連: 「喧嘩するまで開けないこと」9年後に"結婚祝い"を開けた中身に世界中が感動 - Spotlight


冷静さを生む環境を整備しておくべきだ。安全・安心が必要だ。それには、長年実績がある複数種類の手段をもっている等、システムの堅牢性・信頼性が高いことが必要だ(工学的技術は、ここに貢献できる)。
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コンテンツは独占できない。

しかし、技術は独占できる。

だから、独占されないよう、一般の人が技術を持たねばならない。

ディドロ, ダランベール=編, 桑原 武夫=訳編 : 百科全書―序論および代表項目 (1971, 岩波文庫) p.398.

多田 道太郎による解説「『百科全書』について」より。

 なぜ百科全書派は技術を重視したのか。理由はかんたんである。それがブルジョアジーの利益になるからである。総じていえば「所有が市民をつくる」というブルジョア的立場が『百科全書』のほとんどを貫いており、したがってブルジョアの武器、道具としての技術が、新しく重視されることになったのである。

大阪府立図書館~フランス百科全書 図版集


一般の人が技術を持つことは、専門職を圧迫しない。専門職は「超民」として、技術を持った「高民」によって後方連絡をされ、孤立しない。

【超民連絡】天才・秀才が生き・活きる社会
大国高民と高民立世・超民連絡
超民連絡の見いだし
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ボイテルスバッハ・コンセンサス (1976年)

(1) 教師の意見が生徒の判断を圧倒してはならない。

(2) 学問と政治の世界において議論があることは、授業においても議論があることとして扱わなければならない。

(3) 生徒が自らの関心・利害に基づいて効果的に政治に参加できるよう、必要な能力の獲得が促されなければならない。

(1) は、“政治教育の先進国”ドイツが打ち立てた「3つの原則」 - Yahoo!ニュース より。
(2)(3)は、近藤 孝弘 : ドイツの政治教育における政治的中立性の考え方 (2011/ 7/25) より。

“政治教育の先進国”ドイツが打ち立てた「3つの原則」 - Yahoo!ニュース

“社会の不安解消”が第1項なら、第2項は言わば“教師の不安解消”のための原則だ。

...

第3項『自分の関心・利害に基づいた政治参加能力を獲得させる』とは、つまり「自分の頭で考え、自分の言葉で意見を言えるようにする」ことだと博士[: ボイテルスバッハ・コンセンサスの土台になった論文『政治の教師は、授業で自分の意見を言うことが許されるか?』(1976年)を執筆したシビル・ラインハード博士] は説明する。自分自身の興味を出発点にし、授業を通して自分の意見を発展させ、主張できるようにする。言わば民主主義の“根本”を身につけることが政治教育の命題だと宣言しているのだ。民主主義は人間が発明したシステム。それは教えなければ身につかないものに違いない。

...

選挙権年齢の引き下げに関して研究・提言を続ける西野偉彦氏(松下政経塾政経研究所 研究員/NPO法人Rights副代表理事)は、日本の政治教育はまだ試行錯誤の過程にあると指摘する。

「政治的問題を自分事として判断するトレーニングをしないまま投票に行くと、扇動的で分かりやすい“ワンフレーズ・ポリティクス”に若者の意識がなだれこむ危険性がある。政治への意識が“観客”から“当事者”へ変わると民主主義はステップアップする」

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2015年10月31日、「4つエンジンの日本にしよう――知性強靱社会の実現のために」の正式公開を開始しました。

  4つエンジンの日本にしよう――知性強靱社会の実現のために

先に2015年 8月 9日からドラフト版を公開し、随時更新をしておりましたが、この度、正式版になりました。

ドラフト版初期からの更新点


ドラフト版初期と正式版の間の、主な更新点は以下です:

(1) 端書きにしていた「日本を、3つエンジン(トリプル・エンジン)から、4つエンジン(クアッド・エンジン)へ」から始まる文章を、第0章として、文章に明示的に内包しました。

(2) 表題及び第0章に「知性強靱社会」・〈「社会の知性」「強靱」〉という言葉を入れました。言葉の選び方は、国土強靱化からの発想です。文章の導入部に、広く知られている国土強靱化に近い表現を加えて、お読みいただく方にとって、本論に達するまでの思考の道しるべにしています。

なお、同じく、表題及び第0章にある「4つエンジンの日本」・「日本を、3つエンジンから、4つエンジンへ」という言葉の選び方は、大阪市長・橋下 徹 氏の主張である“日本を東京と大阪のダブルエンジンにする”からの発想です。

(3) 文化に関する記述を入れました。

馬場 正尊, Open A, 木下 斉, 松本 理寿輝, 古田 秘馬 他 : PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた (学芸出版社, 2015) pp.55-56. 松本 理寿輝 氏による(太字は、引用元による。引用元ではさらに文字サイズが上げてある。):

 ちょうどその頃、ワタリウム美術館でやっていたレッジョ・エミリア市の「子どもたちの100の言葉展」(*3)(2001年)という展示を見に行きました。... 当時、安心安全を確保しながら、いろいろな人が保育に関われるしくみを模索している時期で、その展示を見て、つくるべきは「しくみ」ではなく「文化」なんだということに気づいたんです。

 レッジョ・エミリア市の人たちは「公益性」をとても信じています。自分たちの未来を自分たちでつくろうとする意思が感じられる。人生の豊かさとは何かということを常にみんなで哲学的に考えている。その答えは1人では見出せるものではありません。

仕組みと文化の両方の視点が必要だと考えます。

本文章を位置づけることができる文脈


本文章の大系は、第1章 知的ネット社会に関する大系に記したとおり、「大国高民」を源流としています。

しかし、第0章 緒言に示唆するように、国土強靱化の強靱化の対象を知性に展開する文脈にも、位置づけることができます。

加えて、一億総活躍社会の文脈にも、位置づけることができます。安倍政権では「一億総活躍社会」を少子高齢化対策の手段として考えているようですが、一億総活躍国民会議の民間議員である菊池桃子氏は、それよりも広い意味で捉えていらっしゃいます:

菊池桃子氏が名前に「ダメ出し」 1億総活躍国民会議初会合 「ソーシャル・インクルージョンと言い換えては?」 記者団とのやり取り詳報(1/4ページ) - 産経ニュース

 「はい。1億総活躍のその定義につきましては、ちょっとなかなかご理解いただいていない部分があると思いますので、私の方からは、1つの見方として、言い方として『ソーシャル・インクルージョン』という言葉を使うのはどうでしょうかと申し上げました。ご存じのとおり、ソーシャル・インクルージョンというのは、社会の中から排除する者をつくらない、全ての人々に活躍の機会があるという言葉でございまして、反対の言葉は、対義語は「ソーシャル・エクスクルージョン」になります」

菊池桃子氏が名前に「ダメ出し」 1億総活躍国民会議初会合 「ソーシャル・インクルージョンと言い換えては?」 記者団とのやり取り詳報(2/4ページ) - 産経ニュース

「今、排除されているであろうと思われる方々を全て見渡して救っていくことを、あらゆる視点から、今日各大臣がご参加いただきましたので、考えていただきたいと、そのように申し上げました」


菊池桃子氏がまたダメ出し 政府の国民会議で「企業、学校の採用基準の一斉見直しを」(1/2ページ) - 産経ニュース

 「今、総人口がすでに減っていることは皆さんもお気づきかと思いますが、その中で人材の活用という議論がございます。人材活用の中でも多様な人材を生かしていく社会のことを『ダイバーシティ』という言葉で解説することが多いと思いますが、ダイバーシティ人材、あらゆる人々がですね、やる気をなくしたり、前向きな意思をなくすような日本の慣習があるのではないかと話を致しました」

 「具体的には企業の採用資格や受験資格というところに心身共に健康な者、もしくは心身とも健全な者という一文がございます。これを見たときに病気を持った方々や障害を持った方々などがこの一文があるためにチャレンジすることを躊躇してしまう、あきらめてしまう現実がございます」


広い意味の「一億総活躍社会」(狭い意味の「一億総活躍社会」であっても、そうですが)の文脈にも、本文章を位置づけることができます。

4つエンジンの日本にしよう――知性強靱社会の実現のために 第6章 知的ネット社会の仕組み・文化 から引かれる 知的ネット社会の設計 2.知的ネット社会の性質

知的ネット社会は、あらゆる属性の、老若男女の知性を総活用するものである。

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