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有川 浩の小説「図書館戦争」映画が公開される (2013/ 4/27公開)。

「図書館戦争」の最重要設定は、劇中の法規「図書館の自由に関する宣言法」である。

登場人物 笠原と堂上の出会い=笠原が図書隊を志した理由も、
図書隊がメディア良化機関と武力・知略両面で戦い 時に傷ついている理由も、「図書館の自由に関する宣言法」による。

この劇中法規は、“知る自由”・“表現の自由”に関して記述された、現実の日本図書館協会による“図書館の自由に関する宣言”を由来としていて、その内容はほぼ同じであり、そのことは作者によって語られている(読者にもよく知られている)。「図書館戦争」に触れた者は、図書館の自由に関する宣言を知ることになる。(そして、人間は、一度知ってしまうと、知っていなかった状態に戻ることはできない。)

人は、知っていると、知っていることに反する、或いは、知っていることに関わる問題の発生に、自然に気づく(知覚する)。その問題に自然に目がいき、高い優先順位をもって取り組むべき課題に設定する。

(ここまでは、個人の内面の話であり、選挙やアンケートで問われなければ、形式知として表れない。)

「図書館戦争」は、単行本・TVアニメ劇場版アニメ文庫、そして新たに映画という媒体を通して、多くの人に提供されている。書評や口コミ(クチコミ)を通じて作品を知った人が、自発的に作品を読もう・見ようとする。映像作品は、テレビを通じて、受動的であっても多くの人に見られるであろう。

即ち、“知る自由”・“表現の自由”に関して記述された“図書館の自由に関する宣言”が不特定多数の人に共有された状態が醸成される。各個人にとって、自分だけでなく、他者も知っている状態が発生する。各個人は、自分の言葉を聞く他者がそれを知っている確率が高いと、考える。このとき、先述した問題について、他者と会話しようとする。なぜならば、既に、或いは、話せばすぐに、他者もその問題の発生に気づき、高い優先順位をもって取り組むべき課題に設定している(或いは、設定する)と予想できるからである。

その問題に関する思考は、自分の中に留まらず、他者と共有すべく言葉として発せられる。その結果、議論が深化する(両者間ではもちろん、自分のなかでも)。議論の深化を盛り込みながら発せられる言葉は、形式知として、強い伝搬力・影響力をもつ。

その結果、社会において、その問題は高い優先順位をもって取り組まれる。

そして、“知る自由”・“表現の自由”を重視し、具体的に運用する、堅牢に“知る自由”・“表現の自由”をもった社会が実現される。


日本図書館協会 “図書館の自由に関する宣言” (抜粋)

図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。

図書館は次のことを確認し実践する。

第1 図書館は資料収集の自由を有する

第2 図書館は資料提供の自由を有する

第3 図書館は利用者の秘密を守る

第4 図書館はすべての検閲に反対する

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

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